医師、科学者としての自己紹介

ダイエットの仕事はしているのですが、本来は、超真面目な臨床医です。
申込みしてくださる方は、このブログを呼んで下さっている方が多いので、臨床医として、科学者として、糖尿病のスペシャリストとしての履歴を紹介させていただきます。

 

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医学の世界では、過去の論文などを紹介して、どんな医師だったかを紹介するのが普通なので、過去の論文で、どんなことを、研究してきたか、を紹介します。ダイエット情報だけを目的の方は、当分、私のブログは、<付録>、だと思って読み飛ばしていただいて大丈夫です。

 

まず、最初の論文は、

 

Painless blood sampling for self blood glucose measurement: Suzuki Y.
Lancet 339巻: 816頁ー817頁, 1992年 (欧文総説)
impact factor : 53.254  (2019年2月現在)

 

です。

 

この論文は、比叡山の子供向けキャンプでの、糖尿病の子供たちとの会話が始まりでした。

 

子供たちと一緒にお風呂に入っていた時に、血糖自己測定で、沢山、穴があいた指先をみせてもらって、血糖自己測定の針はとても痛い。と告げられたのがきっかけでした。

 

それから、なんとか、痛みのない、あるいは、少ない血糖自己測定法は開発できないものか、と考え始めました。

 

ある時、糖尿病学会の展示場で、世界初の血液量が5μlで測定できる血糖測定器をみつけました。それまでは、20μl必要だった血液量が、4分の1になってました。

 

そこで、その量なら、指ではなくて、痛くない場所、例えば、腹部に針をさして、採血すれば、痛くない採血ができ、血糖が測れるのではないか、とひらめきました。

 

そこで、指で測定した血糖値と、腹にさして採血した血糖値との相関関係をみたら、とても、直線的で臨床的には十分に応用可能な直線関係にあることを見いだしました。

 

それは、もしかしたら、日本初かと思い、日本糖尿病学会雑誌「糖尿病」に投稿しました。

 

すると、帰ってきた返事は、「そういう研究は、ナースがやるもので、臨床医がやる研究ではないので、却下します。」という答えでした。

 

その時、もしかしたら、これは日本初だけではなく、世界初かもしれないので、じゃあ、ダメもとで、世界の雑誌に投稿してみようと発想を変えました。

 

ダメもとなら、その当時、最も有名な雑誌「Lancet」を選んで、雑誌「糖尿病」の英文抄録が、ちょうど文字数もぴったしだったので、「英文抄録」を、そのまま、雑誌「Lancet」に投稿してしました。

 

すると、忘れた頃に「アクセプト」(受理)の返事が戻ってきました。

 

まさか、ダメもと、と思って投稿したので、とても驚きました。それも、その当時、雑誌「Lancet 」に掲載されるのが、それほど名誉なことだとは思っていなかったというか、かなり、やけっぱちだったのでしたから、なおさらです。

 

後になって、日本初の発見は、世界に発表してみたら、世界初の発見だってことがわかりました。日本では評価されないで、世界で評価される、て、こういうことか、を、実感できました。

 

その時に感じた教訓は以下のとおりです。

 

1.日本では評価されないからといって、落ち込んではいけない。
2.世界には、同じ悩みをもっている事に対して、解決策(solution)を探している人は、他にも沢山、いる。
3.研究者の中には、本当に臨床にとって必要なことを「研究」として理解してくれる編集長がいる。しかも、トップレベルの雑誌の編集長や学者ほど、理解が速い。
4.動物実験ばかりが研究として認められるわけではない。臨床研究のほうが、世界では高く評価される。日本では基礎研究のほうが高く評価されやすいが、その傾向は、誤りではないか。

 

ということでした。

 

後日、雑誌「糖尿病」の編集長にお会いした時、この話をしたら、笑って喜んでくださったのは、懐かしいです。医療業界の学者は、究極的には、「患者さんのために」、という理解であれば、どんな学者も共有できる気持ちをもっているものです。

 

もちろん、雑誌「糖尿病」の編集長は、日本最高峰の大学の医学部をでた、とても著名な先生でした。その後は、そういう奇妙なご縁もあってか、仲良くさせていただきました。

 

それにしても、臨床家として、科学者として、誰からも後ろ指をさされることはない「世界初」の業績をもっている、という事実だけは、残ったので、それだけが、苦労した甲斐があった、と、述懐しています。

 

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PS

 

GLP1ダイエットの話を国際学会で聞いた時にも、上記の教訓はいかされています。日本では、他の糖尿病専門医がやっていなくても、世界でやられているなら、世界基準で、ものごとを考えるべきだろう、行うべきだろう、そう思うわけです。

 

そういう発想が普通にできるのは、こうした最初の論文「Lancet」での教訓がたぶんにいかされているからなのでしょう。