糖質制限は、終わりにしてください。その1.

糖尿病の臨床、日々、行ってます。

 

最近になり、とみに、糖質制限をしたら、血糖コントロールが悪化して、やめたら、もどって、血糖コントロールが改善してきました。

 

という患者さんが急増してます。

 

当たり前の話で、「糖質制限は半年しかもたない」というのは、糖尿病学会もコメントをだしておりますし、リバウンドのきっかけにもなります。

 

以前、国際糖尿病学会(アブダビ)で開催された時に、
「炭水化物を制限するダイエットか、油脂を制限するダイエットか」
というタイトルのセッションがあったので、参加しました。

 

そしたら、冒頭から、

 

「炭水化物を制限するなんて、いいわけない。アジア人は、炭水化物を食べているから、やせているじゃないですか」という、演者の発言があって、たった、それだけでした。

 

すぐ、話は、油脂を制限するダイエットと、地中海ダイエットの話題に、すりかわってしまって、話題は、その2つが中心でした。

 

以前、糖質制限をしていた人の健康診断の値で、LDLコレステロールが、急にはねあがっている数値をみて、産業医面談をしたことがあります。糖質をへらせば、油脂類がふえ、一時は、体重がへったようにみえても、動脈硬化が進みます。だから、昔から糖質制限ダイエットをすると、死亡率が高くなる、というエビデンスがあったわけです。

 

昨年、オーランドのアメリカ糖尿病学会でも、同じ話題のセッションがありました。
炭水化物制限をした糖尿病患者さんと、油脂制限ダイエットをした糖尿病患者さんの、2群において、経過観察をした研究でした。その研究でも、HbA1cの低下カーブは、まったく、同じで、有意差はなし、という発表でした。ただし、糖質制限ダイエットでは、コレステロールがあがる、という結論は同じでした。

 

いずれにしても、糖質制限、という発想は、日本人が糖質がはいっている食品が好きすぎるし、周囲に、そういう食品がありすぎるから、だけ、だと思います。海外から帰国すると、やはり、日本の糖質を含む食事はおいしい、むしろ、おいしすぎる、と感じます。

 

ですから、日本において、糖質制限ダイエットは、日本人がすきな糖質を我慢させるだけの、ダイエット道場にはいる、とか、断食道場に入門する、というだけにすぎません。
糖尿病の人にとっては、油脂類の食事が増えるので、結局、高カロリーになって、血糖コントロールが悪化するだけに、思えます。

 

糖質制限を、一生懸命、指導している京都の医師がおりますが、あれは、ドメスティックな、コンセプトなのでしょう。京都ですから、おいしい和菓子が、たくさん、お中元、お歳暮で、やりとりされているのだろうと、思います。それをたべなくなったら、血糖コントロールが改善した、という「逸話」をもとに指導されておられるようですが、私にとっては、ちっとも「普遍性」を感じないし、科学的な話でもないように、思えます。

 

千葉県は、ピーナツの産地です。もし、千葉県の糖尿病専門医なら、ピーナツ制限ダイエット、という発想をすれば、千葉県のピーナツによる健康被害は、大きく減少することでしょう。

 

最近は、そういう問題ではないかな、、、、と、ただただ、外来では、もう、糖質制限はやめてください、と連呼しているような状態です。

糖質制限、の本当の意味は「追加糖質制限」。その2.

「アメリカでは、糖質制限は、当たり前のエビデンスがある。」

 

と、いろんなところでメディアが騒いでいます。もはや、それを知らないのは、インチキ医師だとか。ロカボとか、それには医学的根拠がある、と、様々なメディアに書かれています。

 

でも、ある時、CNNの「StudentNews」をみたら、確かに、アメリカの幼稚園でも、過剰な糖質をとらないようにという教育がされているというニュースがあった。

 

Student Newsでは、 Added Sugarを止めましょう、というのがキーワード。
アメリカ循環器学会でも、それは、明確に、Sugarではなく、Added Sugarだと言っている。以下が、Added Sugarに対する、AHA(アメリカ循環器学会)の声明文
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIR.0000000000000439

 

では、「Added Sugar」は、なにかというと、単純糖質を含む、普段なら必要としていない「追加糖質」のことを指す。アメリカ循環器学会でも、糖質と追加糖質を誤解しないよう、細心の注意がなされ、記述がなされている。(addは追加する、という動詞。addedは追加されている、という状態を指す)

 

Added Sugar
https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/sugar/added-sugars

 

追加糖質(Added Sugar) というのは、簡単に言えば、清涼飲料水などに含まれる糖質やケーキなどに含まれる砂糖などの、嗜好品の中に含まれる過剰な単純糖質のことである。であるから、Added Sugar Restrictionとアメリカの幼稚園生が習っているのは、嗜好品の中に含まれる余分な単純糖質をカットしよう、できるだけ、単純糖質が少ない嗜好品をとろう、という、ごくごく当たり前の栄養学的助言なのである。

 

だけど、Added、という表現を、その表現の「真の意図」を無視して、Sugar Restriction (糖質制限)がアメリカでは、はやっているとメディアは書きまくる。ロカボという、響きのいい言葉を聞くと、ついついペンが進むのだろう。

 

でも、これって、英語の誤訳だとは誰も指摘していないのって、おかしくないだろうか。日本のエリートメディアの記者たちは、「Add」という英語の意味を知らないのだろうか?

 

「追加糖質を制限する」、、これが正確な世界に普及している、あったりまえすぎる概念であって、一般に日本のメディアで騒いでいる「糖質制限」は、それとは、はるかに、別次元のもの、である。追加糖質は単純糖質であって、それを制限すれば、逆に、ごはんやパンなどの複合糖質は望ましいし、それは制限するべきではない、という理屈になるからである。当たり前すぎる話題だと、世間は動かないから、意図的に変更を加えて広めているとしか思えない。

 

幼稚園生でもわかる当然のアドバイスであるはずの、「Added Sugar Restriction 」AHAガイドラインが日本では誤訳理解されている事に対して、ちょっと、クレージーな煽動的なダイエット指導だってことに、気がついている医師は少なそうだ。