抗肥満、抗糖尿病の新薬が、同時発売になるかもしれません。

体重も減らし、血糖もさげ、週1回の強力な新薬:dual GIP and GLP1 受容体アゴニスト

 

the Lancet, 2018, Onctober 4

 

この新薬は、GLP1だけでなく、GIPをも刺激し、血糖を下げるだけでなく、体重もさげるという新薬です。欧州糖尿病学会で、その第2相試験の結果が発表されました。

 

第2相試験だったので、LY3298176 (治験の名称)の用量は、1mg, 5mg, 10mg, 15mgを決められ、週1回注射であり、対象薬としては、トルリシティとメトフォルミンとの併用をしている2型糖尿病患者に投与した場合と比較されました。
年齢は18歳から75歳までで、体重はBMIが、23から53と、肥満がある人が選ばれています。

 

555名が参加し、318名が実薬群に分けられましたが、2名は拒否したので、実際には、316名が参加しました。

 

その結果、81.7%の、258名が26週間の治験薬(実薬)を完遂できました。283名が臨床試験全体を最後まで完遂できました。

 

Baselineは、 BMIは、32.6 kg/m2であり、HbA1cは、8.1%でした。53%が男性で、43%が女性でした。

 

26週目になり、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストの効果は用量依存性で、1mgで、HbA1cは、−1.06%低下してました。。5mgで、−1.73%、 10mgでー1.89%の低下を認めてました。トルリシティ群と比較しても、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストでは15mgの投与で、−0.73%のHbA1cの低下を認めていました。

 

体重についても、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストでは、−0.9kgから−11.3kgの減量も成功していました。トルリシティだけでは、−2.7kgの減量しか認められていませんでした。体重が5%以上の減量に成功した確率は、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストでは、14から71%。体重が10%以上の減量に成功した確率は、6から39%でした。腹囲は、最大10cm、減ってました。

 

重度の副作用を有した患者は、316名中13名、約4%でした。悪心、下痢、嘔吐などの胃腸障害がメインの副作用で、これは、セマグルタイドの時と同じようです。用量を増やすと、副作用の頻度も増え、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストの1mgでは、23.1%でしたが、15mgにまで増量すると、66%にまで増えました。ただし、胃腸障害の副作用はどれも軽度から中等度でしたから、心配いりません。

 

食欲低下は、顕著で認められ、dual GIP and GLP1 受容体アゴニストの1mgでは、3~8%だけでしたが、15mgでは、18.9%にもみとれられました。トルリシティで認める食欲低下は5.6%だけ、という数字と比較すると、かなりの高頻度に求められるとういおとになります。なお、低血糖を経験した患者は、ひとりもいませんでした。

 

結論:dual GIP and GLP1 受容体アゴニストは、血糖を改善するだけでなく、体重も減少させうる、すごい効果でした。

 

考察
dual GIP and GLP1 受容体アゴニストは、GIPとGLP1の二つの受容体を刺激するわけですから、インスリン分泌作用は強力で、そのため、HbA1cの低下は、−2%を期待できる、強力な新薬です。BaseLineがHbA1cが8%だとすると、HbA1cが6%台になるのは、容易というような薬剤です。

 

かつ体重減少も、26週間にかけて、ほぼ直線的に低下していきます。Dual GIP and GLP1 受容体アゴニストの10mg、あるいは、15mgの投与では、体重は−8.7kgから−11.3kgの減量も可能です。

 

この新薬は、セマグルタイドと並び評価されますが、血糖降下は理論的には、より強いと言えるかもしれません。日本では、第3相臨床試験が、2019年の春頃から開始されるようです。

 

セマグルタイドより、血糖降下作用は強く、しかし、体重減少も期待できるという意味では、糖尿病だけでなく、肥満患者にとっても、待ち焦がれる新薬になりそうです。セマグルタイドの日本での発売は2年遅れるかもしれないので、もしかしたら、このdual GIP and GLP1 受容体アゴニストと、セマグルタイドとの発売が、ほぼ同時になれば、ふたつの抗肥満薬、抗糖尿病薬というライバルが同時発売になるかもしれません。