Head to Head 試験   SUSTAIN7@バルセロナ

Head to Head と呼ばれる試験があります。

 

日本の製薬メーカー同士では、お互いの製剤をぶつけあって比較するのを遠慮する傾向があります。例えば、内服薬のGLP1(インクレチン)製剤、DPP4阻害剤、であれば、ほとんど必ず最初に発売されて最もうれていたDPP4阻害剤、シタグリプチン、と、新薬との比較が普通でした。売れっ子同士の薬剤同士が、がちんこ、でぶつかり合うという比較試験の結果を見せられることは少ないのです。

 

ところが、国際社会にでると、まるで、ボクシングのような迫力で、最も売れている薬と、これから売れるだろうとされる新薬との優秀性、勝ち負けを競いあう臨床研究が公開されます。それまでのチャンピオンを、挑戦者が追い越す瞬間、というバトル的な臨床試験の公開ようなものです。

 

さて、では、GLP1受容体作動薬、つまり、GLP1ダイエットに用いられる注射製剤でいうと、今年の欧州糖尿病学会(バルセロナ、2019) では、トルリシティ(一般名、dulaglutide )と、オゼンピック(一般名、セマグルティド)とのHead to  Head 試験が発表されました。しかも、トルリシティの最大投与量1日1.5mgと、オゼンピックの最小投与量0.5mgを比較した試験です。SUSTAIN7 試験と呼ばれる試験でした。

 

SUSTAIN試験という試験、そのものが、セマグルティドの優位性を証明する試験なので、そういう目的で、デザインされたものなので、セマグルティドを販売するノボノルディスク社に優位な結果が発表されていました。

 

それまで、最もシェアをしめていたトルリシティの最大用量であっても、挑戦者である新薬のセマグルティドの最小用量とは、たいした差がないです、、という結論で、結局は、セマグルティドの優位性を証明している臨床試験です。 つまり、結局、イーライリリー社よりノボノルディスク社の勝利という結論です。

 

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide low dose 0.5mg vs once-weekly dulaglutide high dose 1.5mg in type 2 diabetes: a post hoc analysis of Sustain 7
Richard E.P..et al.     EASD, P775

 

日本人は売れっ子役者同士をぶつかり合わせて競争する姿を見せないのに、国際社会では、180度、真逆で、売れっ子役者同士をぶつかり合わせ競争し、勝ち負けをはっきりさせないと気が済まない、そんな民族性の違い、を実感させられます。

 

帰国したらテレビのニュースにトランプ大統領がでて、「自分たちの優位性を示して何故悪い。」と発言してました。Head to Head試験は、そういうコンセプトの試験です。

 

国際社会にでて、最近の学会に何年も出席していると感じるのですが、日本は鎖国されているような気がしないでもなくなりました。特に今回の欧州糖尿病学会では日本初の新薬が、ゼロでした。すべてが外国産の新薬ばかりです。ですから、日本の糖尿病医療業界や抗肥満市場は、海外から進出されるだけ、になってるような気分になりました。

 

怖いな、、て思って帰国してきました。江戸時代に、黒船来航時の日本人の気持ちが分かるような感じでした。日本の製薬メーカーにも、頑張ってほしいです。

 

 

肥満は病気じゃない、は既に世界では通用しません。「肥満は、喫煙と同じ」、沢山の病気の上位にある病的事象なので、治さなくては、そう思わないかぎり、取り残されそうです。